イージスEW
AEGIS-EW
CVE(Common Vulnerabilities and Exposures)
見出し
CVEとはなにか
CVE(Common Vulnerabilities and Exposures)は、公開されたサイバーセキュリティの脆弱性に対する標準化された識別子システムです。
CVEは1999年に MITRE Corporation によって開始されました。当初は情報共有の標準化を目的としていましたが、現在では脆弱性管理の基盤となっています。
簡単にまとめると次のとおりとなります。
定義: 特定のセキュリティ脆弱性や露出に対して割り当てられる一意の識別番号
目的: セキュリティ問題の識別、共有、解決を容易にする
管理: MITRE Corporationが管理し、様々なセキュリティ組織が協力
CVE IDの構造
CVE IDは「CVE-[年]-[任意の数字]」の形式で構成されています。例えば、CVE-2021-44228は2021年に割り当てられた44228番目の脆弱性を示します。
CVE IDの例: CVE-2021-44228(Log4Shellとして知られる重大な脆弱性)
なぜ、CVEに該当する脆弱性が危険なのか
CVEに関する情報は公開されるため、攻撃者は自動化されたツールを迅速に開発できます。例えば、Metasploitフレームワークは多くのCVE脆弱性に対する攻撃モジュールを含んでいます。
CVEが公開されると、それまでゼロデイだった脆弱性が「nデイ」脆弱性となり、攻撃のリスクが急激に高まります。
複数のCVE脆弱性を組み合わせることで、攻撃者は権限昇格やシステム全体の制御を獲得する可能性があります。
また、CVEに該当する脆弱性の存在は、以下の理由から極めて危険です。
- 攻撃者にとっては、既知の攻撃である:
CVEとして公開された脆弱性は、攻撃者にとって既知の攻撃手法となる - 自動化された攻撃で脆弱性を突くことができる:
多くの攻撃ツールがCVEデータベースを利用して自動的に脆弱性をスキャン - 組織信頼性への影響:
公知の脆弱性を放置することは、組織の信頼性を損なう - 法的責任:
既知の脆弱性対応を怠ることで、訴訟や規制違反のリスクが生じる - 連鎖的な影響:
1つの脆弱性が複数のシステムに波及する可能性
CVE脆弱性調査の必要性
定期的なCVE脆弱性調査は以下の理由で不可欠です。
- 予防的セキュリティ:
潜在的な脅威を事前に特定し、対処することが可能 - リスク評価:
組織のセキュリティ状態を正確に把握し、優先順位を決定 - コンプライアンス:
多くの業界標準や規制がCVE脆弱性の定期的な評価を要求 - パッチ管理の効率化:
必要なセキュリティアップデートを計画的に適用 - セキュリティ意識の向上:
組織全体でセキュリティの重要性に対する認識を高める
AEGIS-EWによるCVE脆弱性の発見
AEGIS-EWでは、CVEデータベースに照らし合わせて調査対象の脆弱性を調査します。
パッシブスキャンでは、ドメイン情報からゾンビ端末(野良IP、野良サブドメイン)を検出して診断します。
アクティブスキャンでは、実際に診断端末にハッカーの攻撃手法を仕掛けて診断するペネトレーションテストを行います。
上記は、AEGIS-EWによるCVE脆弱性診断結果の一例となります。 サブドメイン別に「発見されたCVE番号」、「脆弱性の深刻度」がグラフィカルに表示されます。
発見から修正までのプロセス
- 脆弱性の発見:
内部調査、外部監査、自動スキャンツールなどによる発見 - 脆弱性の重大度と影響範囲の評価:
CVSS(Common Vulnerability Scoring System)スコアの確認 - 修正計画の立案:
パッチ適用、構成変更、代替措置の検討
優先順位付けと実施スケジュールの決定 - テスト環境での検証:
修正パッチの適用とその影響のテスト
互換性や性能への影響確認 - 本番環境への適用:
計画に基づいた修正の実施
可能な限りダウンタイムを最小限に抑える - 検証と確認:
修正後の脆弱性再テスト
システム全体の機能確認 - 文書化と報告:
実施した対策の詳細な記録
関係者への報告と必要に応じた対外的な開示 - 継続的モニタリング:
新たなCVEの監視と定期的な再評価
結論
CVE脆弱性への対応は、現代のサイバーセキュリティ戦略において極めて重要な要素です。
CVE脆弱性は常に新たに発見されるため、継続的な監視と対応が不可欠です。
また、公開された脆弱性は攻撃者にも知られるため、迅速な対応が求められます。
すべての脆弱性に同時に対応することは困難なため、リスク評価に基づく優先順位付けが重要。
CVE脆弱性管理は、単なる技術的な問題ではなく、組織全体のセキュリティ態勢を強化するための重要な取り組みです。適切な管理と対応により、組織はサイバー脅威に対する耐性を高め、デジタル資産を効果的に保護することができます。ASM脆弱診断ツールを用いることにより、組織全体の問題として、定期的なリスク評価を行うことが重要です。